プロフィール

野風ヤマミチ

Author:野風ヤマミチ
1980年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。1990年ごろから環境問題の雑誌に関わったことをきっかけにエディター、ライターも兼ねるようになる。時を同じくして子供の頃より関わってきたボーイスカウト活動にリーダーとして復帰する。2001年ボーイスカウトの制服を脱いでからノンフォーマル・エデュケーション(野外教育、環境教育、冒険教育等)を仕事の柱に据え活動、執筆をしている。
現在シングルトラック・プロジェクト野風を主催、マウンテンバイクのスクール&ガイドインストラクター、小中学生の野外活動インストラクター等も務める。
1960年東京生まれ 趣味 手作りの道具で野宿、焚火、山旅

資格
日本マウンテンバイク協会 B級インストラクター
INBA ナショナル・マウンテンバイク・パトローラー
WMA ウィルダネス・アドバンスド・ファーストエイド取得
WMA ウィルダネス・ファースト・レスポンダー取得
AHA  ハートセイバー・ファーストエイド ハートセイバー・CPR・AED 取得


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安全 2010年06月19日17:48

ニュースで浜名湖三ヶ日のカッターボートの事故を知った。
残念なことに中一女子生徒が一人死亡という最悪の結果になってしまった。最初、一人不明との報にライフジャケットが脱げて遭難したと思い込んだのだが、実際は転覆したボートの中に取り残され数時間後に発見され病院で死亡が確認されたと夕方のニュースで報道された。天候は雨、風も強く普通荒天とされる天気の中の事故だった。20人乗りカッターによる繰艇訓練だったらしい。
きっと、多人数繰艇によるクラス運営の目的で組まれたプログラムだったのだろう。この手のボートでは全員のオールの動きが合わなければ真っすぐには進んでくれない。なので、力の強いものが弱いものに合わせなければならなかったはずだ。プログラムのねらいで言えば、仲間で力を合わせ団結するといったところだろうか、共通体験によるきずなを作る体験学習だったのだろう。
今、自分がインストラクターとして関わっている冒険教育、体験学習、野外教室の中でも起こり得る事故なので人ごととは思えなかった。そして、何故この事故が起きたのか考え、自分への戒めとするとともに亡くなった女子生徒の冥福を祈りたい。

状況
梅雨の始まりの浜名湖で天気は雨、風強し。映像では白波も見えていたので風速10mを越えていたかもしれない。20人乗りカッター4隻に各艇19名の生徒、2隻にはインストラクター1名づつ、もう2隻には引率の教師1名づつ。雨天決行の予定。事故の起きたカッターは引率教師の乗った船。

事故状況の推測(あくまで個人的な推測)
風雨が強まり危険と判断した教師が、引き返すと判断。岸に向かいターンをする際に波を横から受け転覆したのではないのだろうか。
素早いターンをするためにはで波に直角に進入し下るときに片舷の10人が息を合わせたパドリングで素早くターンしながら波から下り、波の底の部分でターンを完了していないとならない。ターンのスピードと波のタイミングを見計らはなくてはいけない結構難しい技術だ。

引率の教師も、もしかしたら転覆とまでは想定したかもしれないがその先の女子生徒の死亡は予見できなかったのだろう。しかし、これは不運な事故で片付けられるのだろうか。この、小論はその部分を考えていきたいと思う。

〔書き終わった後に見たニュースによると、モーターボートで曳航されている最中の事故だったらしい〕

事故という事象
事故の起きる原因についてはよくチェーン・オブ・イベンツということが言われる。これは、事故の起きる前には必ずチェーンで繋がれたような時系列に沿った事象があり事故に至る。このチェーンをどこかで断ち切れば事故は起こらないとする言葉だが、有名な理論に<ハインリッヒのドミノ理論>がある。事故とはドミノ倒しのように遠因から始まるというもの。この遠因とは社会的環境、家庭的背景を出発地点とし、次に人間による過失、機械的な危険や不安全行動、そして事故の発生、その後の障害と5段階に分け、この中の2番目人間の過失、3番目機械的危険不安全行動の部分で対策を立てられれば事故は起こらないとするものである。この対策の方法は危険の希釈、中和、回避の3つが在る。
希釈とは、事故がもし起きてしまっても、5番目の障害には至らない方法であり、中和とは事故自体を起こさせない対策、回避は読んで字の如くプログラムの中止までを含む方法である。
そしてこの対策を立てるために必要となって来るのがどのような危険かを見極める指導者の経験と能力ということになる。
危険には、顕在危険、潜在危険、遠在危険と三種が存在するといわれている。例えで説明すると顕在危険とは机の上に裸で置いてあるナイフ、潜在危険とは引き出しに仕舞ってあるナイフ、遠在危険とは錆びて落ちていたナイフを拾ってしまった、ということができる。
顕在危険ではナイフを仕舞うという中和、潜在危険では他の人に注意喚起を促すという希釈、遠在危険には拾わないという回避もしくは拾って手入れをし仕舞うという希釈、もしくは中和という方法が考えられる。これらの希釈、中和、回避という同じ方法でもその人の年齢と経験、能力によってその行動が変わってくるのである。

生徒、児童を対象とした野外活動を考えると100%の危険を避ける方法はありえない、なので希釈、中和そしてできたら避けたい回避という方法で危険をコントロールして行かなければならない。この方法の考え方が安全教育、安全対策、安全管理ということになる。

安全とはなにか、
安全とは読んで字の如く、安らかに全うすることでありここではプログラムの目的を達成させるために優先させるべき事柄という定義が出来る。この事柄が安全教育、安全対策、安全管理であり、個人の安全能力である。
まずは、個人におうところが大きい安全能力。これは、危険予知能力と事故対処能力からなり知識的、運動的、性格的各要素と対象者の年齢とも大きく関わってくる。ここには知育、体育、徳育と教育の要素が全て含まれている。
すなわち、普段からの生活におうところが大きい。そしてこのそれぞれ違うレベルの対象者を僕らは現場では指導して行くことになる。

理論を語っていても長くなるだけなので、現場での指導という観点から安全教育、安全対策、安全管理を見ていきたい。
安全教育、これは現場での起こり得る危険を具体的に説明し、対処する統べ教える。これは、どんな危険があるかを知っているということではなく、起こさないための行動ができるという教育である。
安全対策、ここでは参加者全員に周知徹底させる安全の三原則を当てたい。1、ルールを守る 2、危険を察知し取り除く 3、起きてしまった事故に対処できる ここで言う参加者とは、活動をする生徒児童、指導者、そしてプログラムによっては安全を監視する協力者である。
安全管理、これは現場の下見、使用する道具の準備の段階から始まり、安全教育を経て活動中の注意喚起、現場環境の変化への対応ということになる。そしてプログラム終了後の評価を行うことにより次回のプログラムへの安全管理となる。そして安全管理全体を通して常にやるべきことは、人を見る、モノを見る、環境を見るという3つの目を持つことである。

以上の観点から今回の事故を振り返って見ると
1、下見で浜名湖三ヶ日地域の特有の天候や水の流れは調べたか
2、当日天候に本当に不安はなかったのか。
3、全部の船にインストラクターは用意できなかったのか、または二回に分けて行えなかったのか。
4、参加した生徒は最低でも25m以上泳げることと、立ち泳ぎが出来るだけの泳力はあったのか。
5、二人ないし四人一組のバデイは組ませたのか。
6、カッターに浮力を増すためのバルーンは積まれていたのか。
7、監視艇は出ていたのか。

僕なりの結論
今回の事故を上に揚げた観点から見てみると先に揚げた危険の種類の遠在危険、通称のめり込みの危険にあたるのではないだろうか。どうも、このプログラムが前に成功したので、どうしてもやりたかったというエゴはなかったのだろうか。事故が起きてしまった後にもしもはありえないが最低でも上の5、6、7が守られていたならば今回の最悪のケースは避けられ早期発見ができたのではないだろうか。

おわりに
この小論を書くにあたり、10数年前にボーイスカウトリーダーとして参加したボーイスカウト東京連盟安全法研究会でのノートとテキストを参考とした。これまでも、野外活動の事故が報じられる度に読み返してきたノートだが、今回は自分の関わっている活動もあり思うところを小論として書いてみた。そして、まだまだ勉強しなくちゃいけないと改めて思う。そして、ぼくが関われる子供達には絶対にこんな目には合わせないと固く誓おう。最後にもう一度、今回の事故で亡くなった女子中学生のご冥福をあらためて祈ります。
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